アーバンデザイン・スマートシティスクール松山2022
趣旨
地域資源を生かし、新たな公共空間の構想と計画を実践する参加型学習プログラムです。受講生はグループに分かれ、対象とする敷地の歴史的成り立ちなどを踏まえた実践的なまちづくり活動を学びます。
今年度は『地域デザインミュージアムをつくる』をテーマに、地域形成史や地域デザインを踏まえたツアー開発と、スマートシティに関わるモビリティ実験や行動分析に取り組みます。
取組み内容
スクール生は応募してくれた(学生9名、社会人9名)18名が参加し、2022年8月に開講しました。講義や運営メンバーを中心としたグループワークにより、地域やスマートシティを担う人材の育成を目指します。「地域デザインミュージアムをつくる」では、外の空間をフィールドミュージアムに見立て、そこに新たな展示をすること、地域の歴史を掘り起こすことで、都市における新たな人の動きをつくっていくことを地域づくりの一環として目指すことになりました。
講義
第1回 講義 八戸市美術館
- 浅子 佳英(PRINT&BUILD/UDCMプロジェクトディレクター)
- 西澤 徹夫(西澤徹夫建設事務所 主宰)
- 森 純平(東京藝術大学 助教/一般社団法人PAIR 代表理事)
開館記念企画『ギフト、ギフト、(八戸を代表する祭り「八戸三社大祭」を出発点に、アートを通して“ギフト”の精神を見つめる展覧会とプロジェクト)』について
第2回 講義 地域デザインの実践と理論
- 青柳 菜摘(美術作家)
- 伊藤 香織(東京理科大学教授/UDCMプロジェクトディレクター)
- 川口 真沙美(日本デザイン振興会)
- 増橋佳菜(東京大学大学院修士1年)
優れたデザインを選ぶときの視点や、デザインと人、デザインと社会をつなぐデザインハブ(GOOD DESIGN Marunouchi)の運営などについて
第3回 講義 松山のミュージアムを識る
- 平岡瑛二氏(子規記念博物館 学芸員)
- 德永佳世氏(坂の上の雲ミュージアム 学芸員)
- 中野靖子氏(伊丹十三記念館 学芸員)
デザインという言葉をキーにそれぞれのミュージアムのコンセプトと運営や企画展の作り込み方などについてお話しいただき、その内容を踏まえた、まちづくりとの連携の余地について
第4回 講義 スマートシティ
- 大村珠太郎(清水建設)
- 谷口暢夫(NEC)
スマートシティの事例として,交通や防災に焦点をあてた豊洲での先進的な取り組みや松山をはじめ,現場でのデータ取得・収集の実践について
グループワーク
- 地域素材の価値を掘り起こしていく「地域デザイン班」と、そうしたデザインの下敷きとなるような地域の形成史を抽出し、歴史から地域デザインを見直す「歴史班」、そして、それらのデザインをめぐるためのモビリティを活用したプログラムを考え、評価する「モビリティ班」の3つのグループのグループを設定しています。
- urban design weekでは、グループワークを通じて学生と社会人が検討したプログラムを実施し、これらをつなぐ次世代モビリティを走らせ、その行動分析を行います。
アーバンデザイン・スマートシティスクール松山2021
趣旨
学生と社会人、様々な世代の市民が、都市計画やランドスケープ、地域紙、アクティビティシミュレーションの専門家との対話を通じて、バラバラになりがちな個々の敷地のまちづくりを、新たなモビリティとスタディツアーで結び付けていきます。
取組み内容
講義やメンターを中心としたグループワークにより、スマートシティを担う地域人材の育成を実施します。
スクール生は公募により選定(学生24名、社会人17名の計41名が参加)し、2021年7月に開講しました。
講義
第1回 講義 事例紹介
- 「外部空間の使い方」 講師:伊藤 香織(東京理科大学 教授)
- 「データ分析の面白さ」 講師:大山 雄己(芝浦工業大学 准教授)
第2回 講義 エリア紹介
- 「花園町通りの特徴と課題」 講師:重松 建宏(花園町東通り商店街組合)
- 「道後温泉地域の特徴と課題」 講師:山澤 満(道後温泉誇れるまちづくり推進協議会)
第3回 講義 歴史、エリア紹介
- 「松山のまちなかの成り立ち」 講師:松本 啓治(坂の上の雲ミュージアム 総館長)
- 「聖地 道後の歴史」 講師:胡 光(愛媛大学法文学部 教授)
- 「上人坂の空間再生と効果の見える化」 トークゲスト:小林 里瑳(東京大学大学院 博士課程)、奥村 敏仁(大和屋本店旅館 代表取締役社長)、力村 真由(多摩美術大学 副手)
第4回 講義 事例紹介
- 「デュアルモード・ソサイエティにおける交通防災まちづくり ~豊洲スマートシティの取組み~」 講師:大村 珠太郎(清水建設)
- 「IHIの豊洲スマートシティの取り組みについて ~気象・交通の計測技術を中心に~」 講師:寺田 基、河村 清美、大野 正夫(IHI)
- 「デジタルツインで創る未来都市 ~強靭でスマートなまちづくり~」 講師:佐々木 康弘(NEC)
- 「利便性だけじゃダメ!人類全てに優しくあるべきスマートシティ」 講師:辻 早紀(一般社団法人 One Smile Foundation)
グループワーク
- 「道後」「花園町」「松山駅前」「まちなか」の4つのエリアグループと、「モビリティ」「行動分析」の2つのスマートシティグループの計6つのグループを設定しています。
- 各グループは、メンターのもと、数名ずつの学生(大学生、専門学校生)と社会人(銀行、交通事業者、コンサルタント、行政職員など)で構成されます。
- urban design weekでは、グループワークを通じて学生と社会人が検討したプログラムを各エリアで実施し、これらをつなぐ次世代モビリティを走らせ、その行動分析を行います。
松山スマートシティプロジェクト
データ駆動型都市プランニング
都市のあるべき将来像に向けた計画策定では、計画精度の向上と十分な合意形成が求められ、先進的技術を用いた都市マネジメント手法の確立が必須です。
松山市では、様々なまちのデータを多分野に活用することで、都市空間の改変や住民行動変容を推進することを目指しています。
この取組を実現するためには、(1)センシング技術を用いてまちの情報を収集し、(2)都市データプラットフォームに蓄積し、(3)シミュレーションデータとして活用、あるいは(4)データを可視化し理解促進/住民合意促進を行い、都市計画やサービス提供に反映することが重要になります。
この「データ駆動型都市プランニング」を実装し、様々なデータの組み合わせにより、歩いて暮らせるまちづくりのほか、健康増進、地域活性化など複数課題の解決を目指します。
スマートフォンに搭載されているGPSや加速度センサー、Wi-Fiなどの受信機、ステレオカメラやレーザーなどのセンシング機器を活用し、都市空間における人や車両などの移動・滞在情報を継続的にモニタリングするための技術開発及び仕組みを構築する。また、センシング機器の実空間への実装や、移動体情報の収集のためのアプリケーション開発などを目指す。
City Probeで収集されたデータや自治体/企業等からの提供データを集約・蓄積し、スマート・プランニングや観光/防災/環境などの多分野にデータを活用するための、“都市データプラットフォーム(City Data-Spa)”を構築する。構造化/非構造化を問わずあらゆる企業データを一元的に管理する大規模なデータレイク(Data lake)という既存の概念に対して、地域から湧き出すデータが触媒となって市民や地域企業の活動を活性化させ多くの人が集まる、例えるなら温泉のような求心力と効用を持つ地域密着型の都市データプラットフォームを目指すものである。
現在は交通流シミュレーションおよび回遊行動シミュレーション、避難シミュレーションなど、個別のシミュレーションツールが独立して存在するが、今後は広域と狭域の行動シミュレータの連動や複数の交通手段を用いて移動する人の行動など、各種シミュレーションの連動を試みる。
都市データプラットフォームに取得/蓄積した各種データを活用する手段のひとつとして、情報の可視化を想定している。2018年度以降、松山市のまちづくりにおける各関係者との合意形成を支援するツールとして、日立東大ラボのCityScope※を松山アーバンデザインセンターに設置し、実験的に活用している。
※ CityScope 日立製作所東京社会イノベーション協創センタの有する顧客協創手法Nexperienceで用いられるツールのひとつであるCyber-PoC for Citiesを活用
City Ride(次世代モビリティサービス)
モビリティサービスの情報体系を都市データプラットフォーム(City Data-Spa)に接続し、運行計画の最適化や利用者への情報・サービス提供を行う次世代モビリティサービスの構築を目指す。利用者には、予約・情報ツールやサブスクリプションサービスを提供し、公共交通ネットワークを一体的なサービスとして利用できるようにする。地域の人の移動を活性化させるために、自動運転技術を用いたモビリティサービスの導入を想定し、鉄道やバスによる大量輸送の成立が難しい発着地間の移動を支援する。新たに導入するモビリティサービスと既往公共交通が連携した統合的な交通サービス体系を、交通行動データとシミュレーションによる導入効果や交通影響の定量的評価に基づき構築する。
City Safe(防災サービス)
中小河川等の水位観測結果等を都市データプラットフォームに蓄積、氾濫シミュレーションや避難行動のシミュレーション結果とあわせ、3D都市モデルやVRで可視化を行い、住民の防災意識の向上を促す。 また、このシミュレーションを用い、都市農地の防災的価値の把握等により、都市計画や流域治水への活用を図る。
松山スマートシティ推進コンソーシアム2021
公民学が連携し、民間企業や大学が持つ技術・情報等を活用し、取組みを推進します。